プロパンガス料金が高い理由は？一人暮らしの平均料金や安く抑える対策も解説

プロパンガス料金は、都市ガスと比較して約1.5～2倍の料金差が生じることもあり、高いと感じる方も多いでしょう。

また、経済産業省エネルギー庁によると、2021年から2024年にかけて、プロパンガス料金は約1割増加しています。

引用：経済産業省 エネルギー庁「家庭用LPガス小売価格の推移」

特に賃貸物件にお住いの方や一人暮らしの方は、プロパンガス料金が生活を圧迫して大きな負担となりやすいです。

この記事では、プロパンガス料金が高い理由を解説し、具体的な節約方法や対策をご紹介します。

都市ガスの物件への引っ越しを検討している方は、以下でお得に利用できるガス会社も紹介していますので参考にしてみてください。

プロパンガスの平均料金

プロパンガスの平均的な料金を、「一人暮らし」「世帯別」「季節別」「地域別」に分けて一覧表でまとめています。

また、以下は世帯人数別の平均的なプロパンガス使用量をまとめたものです。

ご家庭のプロパンガス使用量と照らし合わせて参考にしてください。

参考：一般社団法人日本エネルギー経済研究所石油情報センター「プロパンガス消費実態調査」

一人暮らしのプロパンガスの平均料金は約6,275円

総務省統計局の調査のよると、一人暮らしのプロパンガス使用料金の全国平均は、2024年（令和6年）3月時点で約4,306円です。※参考：総務省統計局「全国主要都市プロパンガス小売価格」

基本料金の全国平均は約1,969円なので、合計で約6,275円が、一人暮らしのひと月あたりのプロパンガス料金となります。※参考：一般社団法人日本エネルギー経済研究所石油情報センター「LPガス月別（2024年10月）」

一人暮らしのプロパンガス使用料は約5㎥とされており、上記の値も5㎥あたりの価格となります。

世帯別のプロパンガスの平均料金は四人以上ならほぼ変わらない

世帯別のプロパンガスの平均料金は以下の通りです。

二人暮らし～三人暮らしにかけて最もプロパンガス料金の差が大きくなります。

四人暮らし以降も増加はしているものの緩やかであり、大人数で暮らすほどガスの使用効率がいいことがわかります。

参考：一般社団法人日本エネルギー経済研究所石油情報センター「プロパンガス消費実態調査」

季節別のプロパンガスの平均料金は冬が最も高い

季節別のプロパンガスの平均料金は以下の通りです。

季節で見ると冬が最もプロパンガスの料金が高くなっています。

気温が低いと給湯で使用するエネルギーも大きくなり、さらにガスヒーターなどの暖房器具の使用頻度が増えることから、冬はガス代が他の季節に比べて高い傾向にあります。

ただ、夏場と比較してもそこまで大きな差はありません。

参考：一般社団法人日本エネルギー経済研究所石油情報センター「プロパンガス消費実態調査」

地域別のプロパンガスの平均料金は北海道が最も高い

地域別のプロパンガスの平均料金は以下の通りです。

2024年10月のデータをピックアップしています。

表示している5m³あたり、10m³あたりの価格は、基本料金が含まれた価格です。

最もプロパンガス使用料金が高いのは北海道で、総じて日本海側の豪雪地帯では比較的プロパンガス使用料金が高い傾向にあります。

冬場のガス代が高くなるのと同じように、寒い時期が長い・寒さが厳しいことで給湯や暖房器具の使用頻度が増えることが主な要因と考えられます。

参考：一般社団法人日本エネルギー経済研究所石油情報センター「LPガス月別（2024年10月）」

プロパンガス料金が高い理由

プロパンガス料金が高い理由には、業界独自の構造や慣習が影響しています。

都市ガスと比較すると、プロパンガスは1.5～2倍ほどの価格差があります。

背景にはガス会社の自由な料金設定や配送コスト、業界内競争の少なさ等があり、プロパンガス料金が高い要因となっています。

さらに、過去には設備費用が料金に上乗せされるという商慣例もあり、入居者が高いプロパンガス料金を支払っていたこともあります。

ガス会社が料金を自由に設定できる

プロパンガス料金が高い最大の理由の一つは、価格設定が自由であることです。

プロパンガスは、都市ガスのように公共料金としての規制を受けていないため、各ガス会社が独自の基準で料金を設定できます。

たとえば、ある地域の基本料金が2,000円である一方、隣接地域では3,000円というケースも珍しくありません。

また、新規契約時には安い料金を提示し、後から徐々に値上げする業者も存在します。

このため、消費者が料金の妥当性を判断しづらく、結果として割高な料金を支払うことになる場合があります。

プロパンガスはガスボンベの配送コストが高い

プロパンガスの供給にはガスボンベの配送が不可欠であり、この配送コストが料金を押し上げる要因となっています。

都市ガスは地下の導管を通じて供給されるため、配送コストはほぼ発生しませんが、プロパンガスは各家庭までボンベを運搬する必要があります。

たとえば、一般的に1立方メートルあたり30円程度が配送費用として加算されます。

さらに、定期的なボンベ交換や保守点検の人件費も料金に含まれます。

特に、広い地域にわたる配送が必要な地方では、配送コストがさらに増大する傾向にあります。

プロパンガス業界は競争が起こりにくい

プロパンガス業界では、業者間の競争が起こりにくい構造が料金高騰の一因となっています。

地域ごとにガス会社が顧客を囲い込みむことで競争を避けたり、近隣のガス会社同士で価格帯を揃える「談合」のような慣行が行われることも指摘されています。

また、持ち家や賃貸のオーナーの場合、プロパンガス会社を切り替えられることを知らない方も多く、安いプロパンガスに乗り換えず現状の契約を続けているケースも多いです。

結果として、プロパンガス業界は競争が活性化せず料金が高止まりしてしまうのです。

設備費用料金がプロパンガス料金に上乗せされている

プロパンガス料金が高い要因の一つに、プロパンガス料金への「設備費用の上乗せ」があります。

ガス会社は、契約を獲得するためにエアコンや給湯器、宅配ロッカーなどの設備を無償で提供していました。

しかし、各種設備費用は実際にはガス料金に転嫁されており、消費者が気づかないままプロパンガスに上乗せされ高額な料金を支払っていたのです。

実際、料金上乗せにより同一地域でも月額6,000円以上の差が生じた例も報告されています。

2023年7月に経済産業省からＬＰガス料金の透明化に向けた施策が打ち出され、2027年度からの施行を目指して制度設計が進んでいます。

一人暮らし・賃貸でプロパンガス料金を安くする対策

一人暮らしや賃貸物件では、プロパンガス料金が家計に与える影響が大きくなりやすいです。

特にプロパンガスは基本料金の割合が大きいため、使用量が少ない場合でも高額な請求が来ることも少なくありません。

とはいえ、ガス使用量を減らす少しの工夫で、プロパンガス料金を削減することは可能です。

この記事では、プロパンガス料金を安く抑えるための具体的な対策を紹介します。

使用量を減らす工夫や、便利な節約グッズを活用して効率的にガス代を節約しましょう。

プロパンガス使用量を減らす

プロパンガス料金を抑える最も効果的な方法は、ガスの使用量を減らすことです。

特にお湯を使う行為やガスコンロを使った調理時の工夫が大きな節約につながります。

例えば、シャワーや追い焚きといった日常的な行為を見直すだけで、1ヶ月あたり1,000円以上の節約効果が出ることもあります。

また、料理時の火力調整や電子レンジの併用など、効率よくガスを使う意識が重要になります。

以下に具体的な対策を詳しく解説していきます。

対策例1：シャワーの時間を短縮する

シャワーの使用時間を短縮するだけで、ガス使用量を大幅に減らすことができます。

例えば、シャワー1分間あたりに使用するガス代は、プロパンガスの場合約76円です。

1日5分の短縮をすると、1ヶ月で約380円、年間4,560円の節約につながります。

また、節水型シャワーヘッドを導入すれば、同じ時間シャワーを使っても勝手に節水することができ、ガス代の節約になります。

節水型シャワーヘッドは、30%節水のものもあれば70%節水できるものもある等、種類がありますので、好みに応じて選択しましょう。

対策例2：追い焚き回数を減らす

お風呂の追い焚きは、ガス使用量が多くなる大きな原因の一つです。

追い焚き1回あたりのガス代は、プロパンガスの場合約129円とされており、これを1日1回減らすだけで、月間で約3,870円の節約が可能です。

浴槽の蓋を使用することで、お湯の温度低下を防ぎ、追い焚きの頻度を減らすことができます。

また、家族や同居人がいる場合には、入浴時間を調整して、湯温が下がらないうちに続けて入浴するのも効果的です。

追い炊きか新たにお湯をはるか迷う場合、浴槽の残り湯が水道水の温度より温かいなら、追い焚きのほうがガス代を節約できます。

もしお湯はりが自動でできる場合は、自動お湯はりの方が追い焚きより熱効率が高いため、お湯をはり直すのがおすすめです。

対策例3：料理時の火力を調整する

調理時の火力を適切に調整することで、無駄なガス使用を抑えることができます。

例えば、強火よりも中火のほうが熱効率が高く、ガス代を約30％削減できる場合もあります。

鍋やフライパンのサイズに合った火力を使うことも重要で、火が鍋底からはみ出さないように調整するだけで燃費が向上します。

また、煮込み料理などでは、沸騰後に火を弱めたり、余熱を活用することでさらにガスを節約できます。

小さな工夫が積み重なると、月々のガス代に大きな違いが生まれます。

対策例4：電子レンジを活用する

電子レンジを積極的に活用することも、ガス代を減らす効果的な方法です。

例えば、カボチャやジャガイモなど火が通りにくい野菜は、ガスコンロで調理するよりも電子レンジで事前に加熱する方が効率的です。

電子レンジでの調理は、ガスを使わないため、1回あたりのコストを約10円から20円程度に抑えることができます。

また、冷凍食品の解凍や温め直しにも電子レンジを使用することで、さらにガスの使用量を減らすことが可能です。

日常的に電子レンジを活用する習慣をつけると、大幅なガス代削減が期待できます。

ガス料金対策グッズを活用する

ガス料金対策グッズを活用することで、さらに効率的にプロパンガス料金を節約することができます。

例えば、節水型シャワーヘッドはシャワーの水量を30～70％削減する効果があり、結果的にガス使用量も減少します。

また、断熱効果のある浴槽用の蓋は、お湯の温度低下を防ぎ、追い焚きの頻度を減らすのに役立ちます。

高効率ガスコンロもおすすめで、従来のコンロに比べて熱効率が約10％向上し、調理時間とガス代を同時に節約できます。

ガス料金対策グッズは初期費用がかかりますが、長期的に見れば元が取れると考え、早めに活用を始めるのがおすすめです。

持ち家・賃貸の所有者でプロパンガス料金を安くする対策

持ち家や賃貸物件を所有している方にとって、プロパンガス料金は経費削減の重要なポイントです。

特に賃貸オーナーの場合、ガス料金の高さが入居者募集に影響を与えることもあります。

料金を抑えるためには、プロパンガス会社との交渉やプランの見直し、さらにはガス会社の乗り換えを検討することが必要です。

以下では、具体的な交渉方法や料金プラン変更のメリット、乗り換え時の注意点を解説します。

賢く対策を講じることで、プロパンガス料金を効果的に削減しましょう。

プロパンガス会社に料金交渉する

プロパンガス料金を安くする最も手軽な方法のひとつが、現在のガス会社に料金交渉を行うことです。

交渉の際には、他社の料金プランや地域の平均価格を具体的に示すと効果的です。

例えば、「近隣では基本料金1,700円、従量単価600円の会社が多い」「地域の平均価格と比べて高くはないか」と伝えると、ガス会社も対応を検討しやすくなります。

また、「このままでは他社に乗り換えを検討する」と伝えると、割引を提案してくる場合もあります。

ただし、交渉が成功したとしても、一定期間が過ぎると料金が再び上がるケースがあるため、継続的な確認が必要です。

プロパンガスの料金プランを変更する

プロパンガス会社が提供している料金プランを変更することで、コストを削減できる場合があります。

たとえば、一定の使用量を超えると従量単価が安くなる「階段料金プラン」や、契約期間を長くすることで割引が適用されるプランなどがあります。

現在の使用状況を基に、最もコスト効率の良いプランを選択することが重要です。

また、使用量が少ない場合は基本料金が低めに設定されたプランを選ぶと、無駄な支出を減らすことができます。

料金プランの変更は手続きが簡単な場合が多いため、契約内容を確認して検討する価値があります。

プロパンガス会社を乗り換える

現在のガス会社に満足できない場合、他社への乗り換えを検討するのも方法です。

基本料金や従量単価が安いガス会社に乗り換えることで、年間で数万円の節約ができることもあります。

例えば、月間使用量20㎥の場合、基本料金2,000円、従量単価700円の会社から、基本料金1,800円、従量単価600円の会社に乗り換えた場合、年間で約18,000円の削減が期待できます。

乗り換え時には、契約内容や違約金の有無を確認し、違約金がかからないタイミングがあれば乗り換え時期を調整しましょう。

プロパンガス会社を乗り換える方法

プロパンガス料金を節約するために最も効果的な手段の一つが、プロパンガス会社を乗り換えることです。

以下では、プロパンガス会社を乗り換えるための具体的なステップを詳しく解説します。

STEP1：乗り換え先のプロパンガス会社を選ぶ

まず、現在の契約内容を確認し、新しいプロパンガス会社を探しましょう。

お住まいの地域で供給可能なガス会社を調べ、基本料金や従量単価を比較することが重要です。

料金以外にも、値上げルールや契約条件、アフターサービスの内容を確認すると安心です。

STEP2：今のプロパンガス会社を解約する

新しいガス会社が決まったら、現在契約しているガス会社を解約します。

一般的には、新しいプロパンガス会社が旧ガス会社との解約手続きを代行してくれます。

とはいえ完全に丸投げするのではなく、契約書を確認し違約金が発生するか等を事前に確認しておきましょう。

また多くのプロパンガス契約には、設備無償貸与契約が含まれており、解約時に初期費用の残額を請求される場合があります。

違約金が高額な場合、新しいガス会社が負担してくれるケースもあるため、交渉してみるとよいでしょう。

また、解約の際は、設備の撤去方法やスケジュールについても確認しておくとスムーズです。

STEP3：乗り換え先のプロパンガス会社で乗り換え手続きと工事

旧ガス会社の解約の目途が立ったら、新しいプロパンガス会社と契約を結び、工事の日程を調整します。

その後、ガスボンベやメーターなどの設備を交換する工事が行われます。

工事は通常30分～1時間程度で完了し、その後、新しいガス会社が安全点検を実施します。

無事に点検が終了すれば、すぐに新しいガス会社のプロパンガスを使用できるようになります。

プロパンガスの基礎知識

資源エネルギー庁の調査（平成25年度）によれば、LPガスの料金は都市ガスと比べると1.86倍高いとされています。

しかし、プロパンガスは都市ガスとは異なる供給方法と料金体系を持つ重要なエネルギー源です。

都市ガスの供給が難しい地域や戸建て住宅では、プロパンガスが主流となっており、利用を避けられないこともあります。

以下では、プロパンガス料金の計算方法や平均料金、適正価格といった基本的な知識についてわかりやすく解説します。

今のガス代が実際どのくらい高いのか、平均料金や適正価格と比べてみましょう。

プロパンガス料金の計算方法

プロパンガスの料金は、「基本料金」と「従量料金」によって計算される二部料金制を採用しています。

料金の計算式は、「基本料金 ＋（従量単価 × 使用量）× 消費税率」となります。

基本料金は、ガスの使用量にかかわらず毎月一定額を支払う部分で、多くの場合1,500円から2,000円程度です。

一方、従量料金は使用したガスの量に応じて課金されるもので、1㎥あたりの単価が設定されており、全国平均は600円～800円程度です。

例えば、基本料金が1,800円、従量料金が1㎥あたり700円で、月に10㎥使用した場合、合計金額は1,800円 + （700円 × 10㎥）= 8,800円となります。

また、消費税が加算されるため、最終的な請求額はこれに10％の税金が加わります。

まずは検針票や契約書を確認して、自宅の料金体系を把握することが重要です。

プロパンガスの適正価格

プロパンガスの適正価格とは、地域や市場の動向を考慮しつつ、過剰な負担を消費者に強いない料金設定を指します。

一般的に、プロパンガスの適正価格の目安は都市ガス料金の1.2倍から1.5倍程度とされています。

例えば、都市ガスの従量単価が200円の場合、プロパンガスの適正単価は240円から300円程度が理想とされています。

適正価格を実現するにはガス会社の料金透明化が不可欠で、基本料金や従量料金の内訳が明確にされることが必要とされます。

また、経済産業省が進めるガス料金透明化の施策により、適正価格の実現が進むことが期待されています。

プロパンガス料金が高い時は使用量を削減して対策を！

プロパンガス料金が高い理由を知ることは、自身にとって効果的な節約法を見つけるうえで役立ちます。

特に、一人暮らしや賃貸では、日々の工夫でプロパンガス使用量を抑えることが家計の負担を軽減するためにも重要です。

シャワーや料理の際の工夫、追い焚きの頻度を減らすなどの対策は即効性があります。

さらに、ガス会社の料金プランを見直したり、乗り換えを検討することも有効な方法です。

無理のない範囲で取り組める対策を実行し、月々のガス代をしっかり節約しましょう。